ワンダラー 2018


  国:Australia (オーストラリア)
 地域:Victoria (ヴィクトリア)
 品種:Pinot noir (ピノ・ノワール)
タイプ:Red (赤)
 栽培:オーガニック
 SO2:無添加
 度数:12%

作り手より
正直言って、このワインのリリースノートを書くのは簡単ではありません。
このワイン、そして "The wanderer "という名前は、私の亡き親友に心から捧げるものです。
彼の名はトミー・ヒュー・ロッダといいます。
重要なことだと思うので、ワインより先にラベルと彼にまつわる思い出を紹介します。
トミーは、最も活力があり、寛大で、親切で、冒険好きな人物でした。
彼は人生のほとんどを費やして世界の隅々まで旅し、観光客としてではなく、現地の人々に混じって生活し、働くことでその土地の文化に浸りました(通常は違法に、一度に数ヶ月の間)。
行く先々で強い友情を育んできました。
オーストラリアに一時帰国した際には、自転車に乗り、木に登り、ビールを飲むための美しい場所を探している姿がよく見かけました。

彼は、どんな人でも、どんな状況でも、その場を和ませることのできる伝染性のある笑顔と、楽しさと冒険に対する人並み以上の欲求を持っていました。
モメント・モリがモメント・モリと呼ばれ、蛾をロゴにしているのはトミーがいたからです。
トミーが急逝したとき、彼は私にノートにスケッチしたイメージを残してくれました。
それは鉛筆で手描きされた蛾の絵で、その上には「Memento Mori(死を忘れるな)」という言葉が書
かれていました。
人生は貴重だ。
今のうちに身近な人に感謝しなさい。
人生を楽しみ、死を思い出せ。
そんな思いから生まれたのが「モメント・モリ」なのです。
トミーは、このラベルを含むモメント・モリのすべてのラベルのイラストレーターであるアダム(@adamparata)の大切な友人でもありました。
トミー・ロッダがいなくなったことに寂しさを感じずにはいられません。
ワインは、自社畑のニカウ・ファーム、家の前の区画のピノ・ノワール 100%で造っています。
この土地を 2017 年に取得して初めて造ったワインです。
モメントモリスタイル – 全房、長期発酵、長期スキンコンタクト、ステンレスタンクとアンフォラでの熟成 – で醸造しました。(ニカウファームワインが異なる点は、ニカウは 100% 葡萄を除梗、短いスキンコンタクト、ほぼすべてステンレスで醸造することです。)
このワインを造ったときは、ニカウブランドを立ち上げる前で、自社畑からどんなワインを造りたいかまだ完全なヴィジョンをもっていませんでした。
そういう意味でこのワインは唯一無二で、エネルギッシュで、純粋で、フレッシュで、二度と造ることができないものです。
親愛なる友人トミーによく似ています。
彼にこのワインを捧げます。


■生産者
MOMENTO MORI WINES (モメント・モリ・ワインズ)
本拠地:オーストラリア・ヴィクトリア
作り手:デイン・ジョーンズ

Daneはもともとニュージーランドの南島のウエストコースト出身です。
大自然の中で育った彼にとって自然に造られないワインは違和感でしかなかったそう。
大柄でたくましい髭、キャップにド派手なシャツ、という出で立ちはまさにギャングスターといった感じではあるものの、非常にまじめな性格や澄んだ瞳はワイン共々Momento Mori Winesの魅力の一つとなっています。
2004にオーストラリアに移住し、コーヒー業界でバリスタとしてWild Open RoadやProudMaryなMelbourneのなかでもトップクラスと言われるカフェで活躍していましたが、2009年もともとワインに興味を持っていた彼はVictoria州のHarcourtValleyにあるワイナリーで働き始めます。
その後フランスで研修し、その間、彼はJean Francois GanevatとPierreOvernoyを訪れ、彼らのワイン造りの哲学や情熱をシェアし共感することができました。
その経験は今の彼のワインメイキングの核となっています。
また彼は今は亡きRadikonのワインと出会い、イタリアのぶどうが持つ華やかな香りや、スキンコンタクトが生む複雑味などに魅了され、全てのキュヴェはイタリアのぶどう品種から成っています。
ワイナリーのすべては手作業で行われ、必然的に生産量はかなり少ないものの、SO2無しで尚且つ清潔で純粋なワインを作る唯一の方法は、発酵からボトリングまでのすべての面において優しく、丁寧に自分ですべてを行うということだと彼は言います。
2016年もっともオーストラリアのナチュラルワイン界を感動・震撼させたワイン・ワイナリーです。

--- 2017 ヴィンテージについて --- DANE JOHNS より ---
栽培期は、間違いなく私がMomento Mori Winesを始めて以来経験した最も優しい “The Kindest“シーズンでした。
長い間涼しく、また必要なタイミングで雨が降りました。
その結果、酸度が高く、高い糖度になることなく味が熟した果実が得られました。
クリーンでピュア、ストラクチャーもあって、そして私達にとって最も重要な低アルコールになる葡萄を育んだ完璧なシーズンでした。
ワインを造ることは、とても長いプロセスであり、毎年学んだことを適応できる翌年の収穫まで保持しなければならないという意味で多くの忍耐を教えるものです。
それができれば、様々な事を洗練させるのに役立ち、自分が思い描く理想のワインに一歩近づくワインを造ることができるのです。
今年はその理想のワインに最も近いものを造ることができました。

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