アイ・ニード・ザ・サン 2015
国:France (フランス)
地域:Jura (ジュラ)
品種:Chardonnay (シャルドネ)
タイプ:Orange (オレンジ)
度数:14%
その他:500ml
インポータコメント
ラディコンやヴォドピーヴェッツのような、皮ごと醗酵させた白ワインも、ヴィンテージが許せばやってみたいと考えていた鏡氏。
初ヴィンテージの2011は、収穫時期に素晴らしい天候に恵まれ、醸し醗酵をするに値する健全で情報量の多い果皮を持ったブドウがとれたそうなのですが、初めての醸造という事もあり、区画ごとの特性をより深く理解するために全ての区画のブドウに同様の醸造方法を採用します。
以降、2012、2013、2014と天候に恵まれない年が続き、2015年にようやく2011年以降で初めて果皮に力のあるブドウを手にします。
2015ヴィンテージで最も収穫を遅らせたシャルドネを使用し、除梗し軽く潰したものを45日間醸したワインになります。
酸も穏やかで、ボリューム豊かな、ある意味ジュラらしからぬワインとの事。
甘いわけではないのですが、食後にゆっくり楽しむのにも向いているのでは?というほどの濃さを持ち合わせている事と、生産量が少ないワイン(バリック2樽)をより多くの人に楽しんでいただきたいという思いもあり、500ml入りにボトリングすることにしたそうです。
■生産者
Domeine des Miroirs (ドメーヌ・デ・ミロワール)
本拠地:フランス・ジュラ
Domaine des Miroirs (ドメーヌ・デ・ミロワール)の鏡 健二郎です。
今回ワインを初めて出荷するにあたり、私なりの言葉でワイナリーについて紹介させて頂きます。
約6年半生活し仕事をしていたアルザスを離れ、2011年2月下旬より新たな地、ジュラ県の南に位置するグリュス村に移り住み、葡萄畑を購入、妻と共にワイン生産者として生活を始めました。
2001年に渡仏して以来、フランス語や学問としてのワイン造り、そして実際のワイン造りを学ぶためにブルゴーニュ、北ローヌ、アルザスと移り、最終的に辿り着いた先はジュラでした。
ワイン産地としてのジュラは、概ねヴァン・ジョーヌの土地、として知られています。
しかし、そのイメージが強過ぎる余り、その他の事があまり語られていないように感じますが、土壌はジュラ紀に形成された石灰岩の岩盤がベースにあり、立地条件等により泥灰土層、粘土層などが、その割合を変えながら岩盤上に覆い被り形づくられた土地だと言えます。
この特徴的な石灰岩、泥灰土はこの土地の持つ個性を際立たせており、その個性が酸化的な熟成をさせた従来ジュラの典型と言われてきたワインや、酸化的熟成をさせない一般的な造りのワインにおいても十二分に反映させられ、また固有性を残せると考えました。
そして自らワインを造るにあたり、これらの特徴に非常に魅力を感じたことが、ジュラという土地を選ぶ大きな要因となりました。
私たちの葡萄畑はグリュス村を見下ろす広さ約3,2haの単一畑で他の畑から隔離されています。
この畑の三方は森に囲まれ、そこには昔ながらの風景が広がります。
1950年代まで代々葡萄が植えられていたこの畑は、急斜面を含む立地条件による、仕事の困難さや低収穫量などの要因により、人々は葡萄作りを放棄し仕事が楽に行える畑へと移り、徐々に森に吸収されていきました。
除草剤など存在しなかった50年代に栽培放棄され森化していた、そして再び葡萄が植えられた2005年以降も除草剤を一度も撒かれていないこの畑は、私たちが理想としていた環境でした。
実に多様な植物が自生しており、折々の季節に様々な花が咲き乱れています。
その畑は一区画(厳密に言えば小道を隔てて約2,5haと約0,7ha)ですが、土壌は細かい隆起の違いや表土の構成により、幾つかの個性があります。
ここに至るまでの長くも短い間、色々な方々に出会いそれぞれの感覚に触れたこと、また今までの仕事先で、生活や仕事を共にすることで得られた多くの経験は、何にも代え難い財産であり、独立するにあたって自分なりのワイン造りに対する考え、スタンスを持つ上で非常に有意義でしたし、今思えば、作業うんぬんよりも、精神面でより多くの影響を受けたように感じます。
私が抱く考えやスタンスは、現在のものを礎としながら今後も良い意味で変化すべきだと考えており、そうなることを自分自身期待してもいます。
このような経験を通して得られた私の考えは「自分がワインをすべての責任を持って造れる」となった時、ワイン生産者として在るうえでまず最初に「自分たちが責任を持って育てた葡萄のみを使ってワインにする」と言う単純で、そして純粋なところに行き着きました。
葡萄の樹、畑の土、自生している草花、気候などを、私たち自身で見て、触れて、実際に畑で汗を流して、そしてそれらのリズムを肌で感じることでのみ、その畑の、その年の葡萄に対するより深い理解を得られ、その先に私たちが理想とする、土地、土壌、年の特徴や個性などが強く反映されたワインがあるのではないかと考えているからです。
それぞれの区画の特徴、周囲の自然環境、天候、近辺に生息する動植物など、それらの関係を注意深く自らの目で観察することでのみ、それらとの調和を図った葡萄栽培が可能となり、その葡萄から様々な要素が引き継がれたワインだけが、我々の土地やその年の個性を表現するだけにとどまらず、私の思うワインというもの、ここでの生活の在り方やその空気感さえも伝えてくれるのだと思います。
ドメーヌ名においても、私の姓である「鏡」を意味するフランス語、Miroir(ミロワール)からつけたものではあるのですが、私たちのワインが、先の述べたような理念を写し出す鏡であってほしいという想いでつけました。また複数形としたのは、日本から遠く離れた土地でも、家族・親族等の支えがあり今の私たちが在ること、気持ちの距離は常に近く、という気持ちから来ています。