ピノ・グリ・テラス・デュ・シュタインネッカー NV
国:France(フランス)
地域:Alsace (アルザス)
品種:Pinot Gris (ピノ・グリ)
タイプ:Whte (白)
栽培:ビオディナミ
度数:14%
インポータコメント
2020年の問題は収穫前に鳥や猪などに葡萄を食べられてしまい、収穫量が激減したことでした。
天候は5月の遅霜や7〜8月の猛暑と乾燥がありましたが、季節を通じて葡萄は穏やかに熟し、果汁と熟度のバランスが良い葡萄へと成長しました。
2021年の春は乾燥していましたが夏に多雨、カビなどへの対策に多くの時間を費やしました。
幸運なことに9月からはとても暑く葡萄が水分を保ちながら綺麗に熟しました。
これまでで最も遅い10月2日から収穫を開始、とても厳しく選果したことで発酵は順調に進み、凝縮感と冷涼感のあるスタイルに仕上がりました。
樹齢40年〜50年の葡萄。ダイレクトプレスしたジュースを35%ずつジャーと600Lの樽、残り30%はステンレクタンクに入れて2020年は約24ヶ月、2021年は12ヶ月の発酵と熟成。
ヴィンテージの構成は比較的暑い年の2020年を70%に冷涼でフレッシュ感のある2021年30%、ブレンドしたタイミングは2021年ヴィンテージのアルコール発酵終盤でした。
やや濃いレモンイエローの色合い。
蜂蜜レモンや淡いパイナップル、熟した黄色の和柑橘、柑橘のピール菓子を想わせるやや充実感のある爽やかな果実の香りに、エルダーフラワーなどの白い花の優しく華やかな香り、仄かにシュクレフィレような芳ばしく甘やかな香りやコク、煙や火打石のニュアンスが感じられます。
ほどよい甘みが舌先を包み滑らかなテクスチャーで、瑞々しく清らかに口中へと流れ込みます。
蜂蜜レモンや柑橘を搾った果汁を想わせるスッキリとした果実味に、伸びやかで張りのある酸と塩味が輪郭や抑揚を与えながら全体を支えています。
口中へ膨らむ中で果実味にシュクレフィレや軽いカラメルのような芳ばしくビターな風味や乳酸的なまろやかさ、じんわりと溢れるような旨味が徐々に重なり深みが増していきます。
凛として気品のある辛口の味わいに、鼻腔に抜けるパイナップルの香りがフルーティーで可憐な印象を与えています。
■生産者
Maison Moritz Prado (メゾン・モリッツ・プラド)
本拠地:フランス・アルザス
Maison Moritz Pradoは2018年からアルベという人口約500人の小さな村でワイン造りをしています。
フランス人の夫のギラン・モリッツは過去にポルトガルのDomaine Conceitoで収穫作業、ブルゴーニュのDomaine Devillardに5年間勤務後、ルーマニアのDomaine Avincisで7年間総合責任者を務めるなど、豊富な経験を持ちます。
コロンビア人の妻のアンジェラ・プラドは金融の修士号を持ち、当初は金融の世界でキャリアスタートを切りましたが、ギランとの出会い機にルーマニアに移り、ギランと共にドメーヌでワイン造りの経験を積みました。
その後二人は独立を決意し、フランス国内でブルゴーニュ、ボルドー、ロワールなど畑を探し回りましたが、近年気候が及ぼす大きな影響やワインの好みなどを考慮し、総合的に過小評価されていたアルザスを選びました。
その中でもアルベは非常に小さいアペラシオンに関わらず、すり鉢状の内側に位置する畑の標高は約350m〜500mで冷涼な気候で、土壌の性質は主にシストというワインに冷涼感が出やすい環境です。
ぶどうの生育が平地と比べて約2週間ほど遅く、開花時期の霜の影響が比較的低く毎年安定した収穫が出来る傾向にあるところも大きな魅力です。
強い冷涼感のあるワインを好む二人は、特に近年の地球温暖化に対応できているこの理想的な条件から、自身が納得のいくワインを造る事ができるこの土地のポテンシャルに魅了されドメーヌ設立に至りました。
彼らのワインには、常にとても笑顔でエネルギッシュな二人の明るい面と、非常に真面目な部分の両方が写し出されているように感じます。
自然に対して大きなリスペクトを払う彼らは、フランス全体のヴィンテージ毎の特徴というよりは、アルベ単体のその年とテロワールの特徴を最大限表すようにワインを造ります。
今後の将来にも更に期待が高まる生産者です。